今までサイトを置くレンタルサーバーにロリポップ!を使用していたのですが、最近になってさくらインターネットのレンタルサーバに移行を始めました。
これに伴ってメールサーバもさくらに移動することになったのですが、仕様が異なるために幾つか壁にぶつかりました。以下はその記録です。
目次
さくらに登録した独自ドメインは、メールにおいて初期ドメインと同一と見なされる
一言で書くと「メールアドレスのローカル部(@より前の部分)が同じなら、ドメイン(@以降)は独自ドメインも初期ドメインも同じアカウントになる」ということですが、いきなり書かれてもなんのこっちゃという話だと思います。
さくらに登録すると「○○○.sakura.ne.jp (※)」という、初期ドメインを取得することが出来、これが基本のドメインになります。(※)○○○は自分で決められますが、既に誰かがとっていると使えなくなるので早い者勝ちです。さくらは老舗ということもあり、一般的な単語だと大体とられてしまっています。
この初期ドメインを使用したアドレスは×××@○○○.sakura.ne.jpになります。xxxは任意の文字列で自分で決めることが出来ます。独自ドメイン(例:example.com)を登録すると、xxx@example.comのようなアドレスを使用することが出来ます。
さくらではメールアカウントで設定できるのはローカル部(@より前の部分)だけです。例えば定番のinfoを登録した場合、
- info@○○○.sakura.ne.jp
- info@example.com
は同じアカウントとして扱われます。以前使用していたロリポップ!には無かった仕様ですので個人的に戸惑いました。
メールソフトに登録
メールソフトにさくらインターネットのメールを登録します。IMAPとPOP3という2方式有りますが、以下ではIMAPで設定しています。(マルチデバイス化された近代においてPOP3を個人で使用する機会はあまりないでしょう)
ポート番号について
ウェルノウンポート番号から今回のメールに関する番号を抜粋すると以下のようになります。
番号 | TCP/UDP | サービス/プロトコル |
---|---|---|
25 | TCP | SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) |
143 | TCP/UDP | IMAP2/4 (Internet Message Access Protocol version 2/4) |
465 | TCP | SMTPS (SMTP over SSL/TLS) |
587 | TCP | SMTP Message Submission (メッセージ投稿) |
993 | TCP | IMAPS (IMAP over SSL/TLS) |
さくらレンタルサーバーの基本仕様一覧の説明から、使用するポートは
- 送信(暗号化):STARTTLSで25か587。465(SMTP over SSL/TLS)は使用できません。
- 受信(IMAP4):143。
となります。
デスクトップ用メーラーのThunderbirdに登録
色々なメールソフトがありますが、私はWindowsでThunderbirdを利用しています。この項はバージョン38.2.0で行った内容を記述しています。
メールアカウント設定の画面でメールアドレスとパスワードを入力して「続ける」ボタンを押すとThunderbirdが自動的にサーバの設定をしてくれます。しかしこのまま完了ボタンを押すと
上記のように「セキュリティ例外の追加」というウィンドウがポップアップされます。設定に変更が必要ということです。このウィンドウが出たらキャンセルして戻りましょう。
設定は上記リンクで公式に説明されています。メールアカウント設定のウィンドウの「手動設定」のボタンを押し、いくつか変更します。
- 受信サーバ、送信サーバ両方の「サーバのホスト名」から、最初の「mail.」を消す。初期ドメインを使用する場合は「○○○.sakura.ne.jp」になります。
- ユーザー名は使用するアドレスと同じ(受信サーバに入力すると自動的に送信サーバでも入ります)。例えば「×××@○○○.sakura.ne.jp」になります。
これで登録することができます。
Android用メーラーK-9 Mail
端末に登録
Android用メーラーの一つK-9 Mailに登録します。内容はThunderbirdと大差ありません。
受信メールサーバ設定
- IMAPサーバ:最初のmailを削る。初期ドメインを使用する場合は「○○○.sakura.ne.jp」になります。
- 保護された接続:「SSL/TLSを使用する」を変更して、「STARTTLSを使用する」に変える。(ポートが連動して143に変わります)
- アカウント名:使用するアドレスと同じ。例えば「×××@○○○.sakura.ne.jp」になります。
送信メールサーバ設定
- SMTPサーバ:最初のmailを削る。初期ドメインを使用する場合は「○○○.sakura.ne.jp」になります。
- 保護された接続:「SSL/TLSを使用する」を変更して、「STARTTLSを使用する」に変える。(ポートが連動して587に変わります)
- アカウント名:使用するアドレスと同じですが、受信メールサーバと同じ内容に自動的になっているはずです。
あとはオプション関係(同期頻度や送信者名の登録等)をして終了です。
設定の変更
デフォルト設定のままだと、K-9 Mailから送信したメールのデータが(さくらインターネット仕様の)送信済みフォルダに入りません。K-9 Mail独自の「送信済み」フォルダに入りますので、PC等の他のデバイスで見られなくなります。「設定」→「アカウント設定」→「フォルダ」→「送信済みフォルダ名」に移動し、フォルダ名を「送信済み」から「Sent」に変えます。
また、K-9 Mail以外でフォルダを作成した場合は、フォルダ一覧を開いて右下の設定ボタンから「フォルダ一覧を再読込」しなければフォルダが同期されません。
iPhoneデフォルトメールアプリに登録
上記のガイドに従って登録します。最初にPOP3、その後にIMAPで説明しているので、IMAPで使用する方は途中は飛ばしましょう。
設定アプリ→メール/連絡先/カレンダー→アカウント→詳細と進むと上記の画面に移動します。
受信の際、IMAPS (IMAP over SSL/TLS)のポート993を使用していることが分かります。
メールの差出人は各メールソフトで入力する
最後の項目はさくらに限定しない話で余談です。ITリテラシーのある方には当たり前のことなので笑って聞いていただければ幸いなのですが、各メールアドレスの設定ページで差出人を入力する項目が無かったので最初迷いました。
普通メールを受け取ると、「佐藤太郎 <taro_satou@example.com>」のような形で、差出人とメールアドレスの両方が表示されていると思います。上記の例の「佐藤太郎」に該当するものを入れたかったのですが、メール設定にページにそういった項目はありません。
差出人はあくまでメールソフトで入力するものなんですね。試しに同じアドレスを使って、ThunderbirdやAndroidで差出人名を変えて試してみたのですが、差出人名はその時設定されているものに依存しています。
つまり差出人名は使用しているメールソフトで変えてやればよいということです。さくらのウェブメーラーの場合も、左ペインの「設定」を開き、「このドメインの署名」の名前の所を入力するとウェブメーラーから送信したメールに送信者名が入ります。
疑問点
ポート番号の開設で触れたさくらレンタルサーバーの基本仕様一覧のページですが、暗号化通信の所に書かれた「※ 初期ドメインのみ」が気になる所です。
独自ドメインだとできないのでしょうか?受信は前述の同一と見なす仕様があるので大した問題にならないと思いますが、送信に関してはどうなんでしょう?